「このまま将来どうなるの?」

「このまま将来どうなるの?」不登校になったわが子を見て、不安でいっぱいのお母さん・お父さんへ
「学校へ行けなくなってしまった…」
そんな現実を前に、多くの保護者の方が最初に感じるのは、「この子の将来は大丈夫なのだろうか」という大きな不安ではないでしょうか。
「高校へ進学できるの?」
「社会に出て働けるようになるの?」
「このまま家から出られなくなったら…」
考えれば考えるほど、不安は膨らんでしまいます。
しかし、心理師として多くのお子さんやご家族と関わってきた経験からお伝えしたいことがあります。
不登校になったことと、将来が決まることは同じではありません。
不登校は「結果」であり、「原因」ではありません
不登校は、怠けや甘えではなく、子どもが何らかのストレスや困難に対して精一杯適応しようとした結果として現れることが少なくありません。
背景には、
- 発達特性による学校生活の困難
- 学習へのつまずき
- 友人関係
- 感覚過敏や疲れやすさ
- 不安の強さ
- 自己肯定感の低下
など、一人ひとり異なる理由があります。
まず大切なのは、「学校へ行かせること」ではなく、「なぜ学校へ行けなくなったのか」を丁寧に理解することです。
将来を左右するのは「今の支援」
心理学では、子どもは安心できる環境の中で少しずつ自己効力感(「自分ならできる」という感覚)を取り戻していくことが分かっています。
焦って学校復帰だけを目標にすると、かえって心のエネルギーを失ってしまうこともあります。
反対に、
- 安心して話せる大人がいる
- 小さな成功体験を積める
- 自分に合った学び方が見つかる
こうした経験が、将来の自立につながっていきます。
保護者の「関わり方」が子どもの安心につながる
不登校になると、保護者も不安から
「いつ学校へ行くの?」
「勉強はどうするの?」
「このままでいいの?」
と声をかけたくなります。
もちろん心配だからこその言葉です。
しかし、子どもはその言葉を「責められている」「期待に応えられない」と受け取ってしまうことがあります。
そこで近年、保護者支援として注目されているのがCRAFT(Community Reinforcement and Family Training)という関わり方です。
CRAFTはもともと家族支援として開発された心理学的アプローチですが、「相手を責めたり説得したりする」のではなく、安心できるコミュニケーションを増やし、望ましい行動を少しずつ引き出していくことを大切にしています。
例えば、
- 子どもが話しかけてきたら最後まで聴く
- 小さな行動や努力を具体的に認める
- 命令や説得よりも共感を意識する
- 家庭の中に安心できる時間を増やす
こうした積み重ねによって、親子関係が改善し、子どもが自分から動き始めるきっかけになることがあります。
一人で抱え込まないことが大切です
保護者自身も、不安や焦りでいっぱいになるのは自然なことです。
だからこそ、「どう関わればよいのか」を一緒に考えてくれる専門家の存在が大切です。
当教室では、公認心理師・臨床心理士など心理の専門職が、お子さんへの支援だけでなく、保護者の方との面談も大切にしています。
発達特性や心理面を丁寧にアセスメントし、一人ひとりに合わせた支援を行うとともに、CRAFTの考え方も取り入れながら、ご家庭で実践できる関わり方を一緒に考えていきます。
最後に
不登校になると、「将来」という遠い未来ばかりが気になってしまいます。
でも、本当に大切なのは、今日、お子さんが少し安心して過ごせること。
安心できる毎日の積み重ねが、自信につながり、自立への一歩になります。
「この子は大丈夫だろうか」と一人で悩まず、まずは今のお子さんの状態を一緒に整理するところから始めてみませんか。
お子さんにも、保護者の方にも、それぞれに合った支援の方法はきっとあります。
